スプーンを。
わたしはよく、仕事場のベランダでぼんやり休憩するのが好きなのですが。
先日、ポカポカ陽気のある日、いつものようにベランダに珈琲持って出て。
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この写真を撮ったあと。
部屋に戻るときに、落としてかいてしまったんです。
このカップすごく気に入っていたのに。
ショックで気が動転していたので、その時は気付かなかったのですが、
よくみると、よくみるとー、かけちゃったのは、カップだけではなかったのです。
これ。
![](images/tsukuru_vol05/img01.jpg)
がーーーーーーーん。
スプーンまでかけてる、うううう。
自分の不注意なんだけど、切ない。
切ない。
「形あるものはいつか壊れる」と呪文のように唱えたり。
いつか、友人ががかけてくれた「きっとそれはteraちゃんにふりかかる災いの身代りになってくれたんだよ」っていうやさしい言葉を思い出したりして。
ごめんね、ありがとう。
って気持ちを込めて処分しようって思っていたのです。
が、ふいに、これ木だからリペア出来るんじゃないかしら、と思いたったのです。
作家さんのカトラリーだったら、きっと、修復の対応をして下さる方もいらっしゃると思うのですが、
こういった数百円の量産品だとそんなわけにはいかないし。
そもそも、買い直したほうが早いよ、みたいな話になっちゃうんだけど。
自分で直せたら、一番いいかもしれない!
と思い立ったので、今週は、「直してみよう!」にチャレンジなのです。
いきなり、紙やすりをかけようとするわたしに、
心配そうにいろいろ教えてくれる、木工経験者のスタッフくん。
いかんいかん、ついつい何でも「いきなり」やってしまうわたしの悪い癖。
落ちついて、まずは、スタッフくんに必要な道具を教わりました。
![](images/tsukuru_vol05/img02.jpg)
ナイフと鉛筆と紙やすり、最後にオイル。
鉛筆より、マッキ―のほうがくっきり書けるからよくない?
と、聞いてみると、笑顔で却下。
木には鉛筆です!(キリ)
えー、茶色いマッキ―持ってるんだけど、と私。
どうしてもマッキ―がいいなら黒で(キリ)
2度も却下されましたので、素直に鉛筆で、あたりをつけます。
意外と鉛筆でも十分描けました。
![](images/tsukuru_vol05/img03.jpg)
(言わんこっちゃない)と、スタッフくんも思っていたでしょう。
このあたりに沿って、ナイフで削っていきます。
![](images/tsukuru_vol05/img04.jpg)
あっさり、あたりを無視してどんどん削ってしまうわたし。
この辺で、やめとかないと!
引き際大事。
ここでやっと登場、紙やすり。
目の粗いやすりから細かいやすりへ順にやさしく整えていきます。
![](images/tsukuru_vol05/img05.jpg)
オイルをしっかり塗り込んで。
![](images/tsukuru_vol05/img06.jpg)
完成です!
![](images/tsukuru_vol05/img07.jpg)
何事もなかったかのようにリペアするのは、素人のわたしには到底無理なんだけど、
ここまで整えられれば、珈琲にミルク混ぜる時とか、ヨーグルト食べる時、十分に使える状態になりました。
よかった、これでまたしばらくお世話になります。
よろしくね。
![](images/tsukuru_vol05/img08.jpg)
文/写真:寺居和美